情報開示についての解説と身近にある情報開示を紹介
by kiyoto_kanda
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まだ 今そこにある情報開示
ゆったり浸かってゆっくり考える
日本人でよかったと思う瞬間はいくつかあります。そのひとつは、ほろよい気分で温泉に浸かること。私の左首の痛みは温泉治療で回復の一途にあります。今日はその「温泉」についてです。

法律から見る温泉
日本には1948年(昭和23年)に施行された「温泉法」があります。その後5回改正され現在に至っています。戦後の混乱期になぜこの法律が施行されたかは別に語るとして、この法律による温泉の定義とは「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。とあります。温度とは摂氏25度以上、物質とは19種類の成分が掲載されています。25の条文から構成されるこの温泉法は定義論であり、利用者が知りたいと思っている浴槽の成分表示、加水、加熱等その他の要件については何も規定していません。昭和30年、40年の高度成長期には温泉旅行は会社の慰安旅行の代名詞でもありました。社員旅行は会社の意思統一手段のひとつであり社員相互の人間関係を築き、会社での仕事の円滑化、引いては会社の利益を最大化させることに貢献してきました。そのころは温泉の成分がどうの、水を加えたのどうの、暖めたのどうのなどと問題にする人たちはあまりいなかったでしょう。50年の年月は、日本経済の繁栄と崩壊、暗黒の10年を日本人に経験させ、現在の価値観をもたらしました。

利用者から見る温泉
今の温泉を象徴するキーワードとして、「本物」「こだわり」「個人旅行」「個性」「差別化」「天然」「ゆとり」「やすらぎ」などがあるでしょう。これらのキーワードに対する満足感を利用者は欲しています。しかしながら、温泉法によって開示されている「温泉情報」では満足感は残念ながら得られません。温泉旅館側の主張も理解できる反面、いままで認識していなかった状況が21世紀には起きていることも認識しなければなりません。法律に従っていれば良いとしか考えない温泉経営者は世間から見放されてしまうかもしれません。

法律に従った情報開示を行っているのみを行っている上場企業と積極的な自主開示として株主や投資家に対してIR活動を行っている企業のどちらが評価されているかと全く同じです。環境省は今年8月と9月に全国の約2万軒の温泉旅館等に対して温泉情報の開示及び表示に関する調査を行いました。加水していたのは77%、浴槽で加熱は74%という回答でした。私が問題にすべきであると考えるのはこれらの数値ではありません。これらの数値は、現状を把握しただけです。真に問題なのは、回答率です。何とこの調査の回答率は62%です。つまり38%が無回答である事実が問題なのです。まずい調査には回答しない、自分だけが回答しても仕方がない、といった温泉旅館経営者の思考回路は変革を要求されています。都合の悪いことは聞かれても答えない、隠す、嘘をつくという行動をとった自動車会社、銀行がどうなったかを世間は知っています。情報開示を積極的に行わない温泉事業者の末路は「客離れ」であることは必至です。

2003年に社団法人日本温泉協会は温泉の認定マークをつくりました。3種類に温泉を格付けするものですが、その審査基準は非公開になっています。法律が追いつかない部分を補完する意味では協会のランキングも有効かもしれません。しかしながら、その審査基準を公開し、なぜこの温泉がこの評価になっているかを情報開示すべきでしょう。

この原稿を書いたのでまたまた、左首に痛みを感じてしまいました(笑)。今週末には「本物」の温泉で治療しようかな。どの温泉が効くかご存知の方は、是非メールをお願いします。


お問合せ: kanda@digital-disclore.com
# by kiyoto_kanda | 2004-10-12 11:20
またまた 今そこにある情報開示
知りたい情報だけどわからない情報
私の左後ろの痛みは約一ヶ月、私にブログを書かせてくれませんでした。最近は整体やピラティスのおかげで回復基調にあります。筋肉弛緩剤も服用しました。私はいつも医者から薬をもらうとウェブでその薬を調べます。最近の調剤薬局では患者氏名・IDとともに、写真入りで薬の名前やはたらき、服用の方法・回数、そして注意事項が書かれた表をくれるようになりました。私などはここまで情報を出すのであれば、これが1錠いくらか、つまり薬価も開示してほしいと思ってしまいます。薬価がわかると3割負担でいくら、健康保険でこれくらい負担しているのだということを自覚するようになります。何となく医者からもらっている薬について、何となく聞いたことがあるけどわからない情報のひとつを見てみましょう。

ジェネリックって何?
新聞の全国紙でジェネリック薬品についての全面広告を見た方も多いことと思います。ジェネリック薬品とは何でしょうか。通常は「後発品」と称されています。後発品とは何でしょう。対する言葉は「先発品」です。先発品は新薬とも呼ばれます。新薬は開発するために製薬会社が多額の開発費と時間をかけ特許費用やライセンス費用を負担して発売に至ります。従って、新薬を開発した製薬会社は、その間の費用を商品である薬の価格に反映させます。時間の経過とともに特許等の期間が満了し、他の会社がその特許切れの技術や手法を使って同様の効果がある薬品を製造することができるようになります。例えば、A社が先発品として販売していた成分と同じ薬が後発品としてB社から発売されることが合法的に行われることになります。そのB社の薬品を「ジェネリック薬品」と呼んでいます。
ジェネリックとは英語の generic で、「一般名」と日本語では訳されています。

ジェネリック薬品はほんとに同じなの?
一般的にジェネリック薬品は先発品に比べ、ほぼ半額と言われています。薬によって30%から80%とも言われています。またあまり価格差の生じない薬があることも事実です。ジェネリック薬品は、名称は異なるものの成分の点からは同じ薬ということができます。しかしながら、成分がいっしょでも薬の溶け方や、体内での吸収状況、副作用等については従来きちんとしたデータがあまりありませんでした。そのために欧米に比べ日本ではジェネリック薬品の普及が進みませんでした。米国FDAのオレンジブックと呼ばれるジェネリック薬品の品質についてのデータ集と類似した資料が日本でも発行されました。日本版オレンジブック研究会という製薬企業のボランティア組織が編集しサイトも公開されています。http://www.jp-orangebook.gr.jp/

2002年6月に、厚生労働省から「国立病院・療養所に対する後発医薬品の採用要請」の通知により、ジェネリック薬品・後発医薬品について患者も知るようになりました。そして各種の資料が公開されることによって、ジェネリック薬品についての理解が患者の間で進むことによって、患者が薬を予算に合せて選ぶ時代が来るでしょう。

米国出張に行くと、西海外ではLion, シカゴではSav.on Osco, ニューヨークではDuane Reade, ボストンではCVS。何かって? 私が買ってくる「アスピリン」のドラックストアが販売しているジェネリック薬品です。バイエルのものよりはるかに安く効き目は同じ。節約家の私は何とDuane ReadeとCVSの会員割引カードをもっている。一年に何回使うの(笑)?

お問合せ: kanda@digital-disclore.com
# by kiyoto_kanda | 2004-09-28 18:56
また 今そこにある情報開示
知りたい情報と知らせたくない情報
最近、左首の後ろに痛みを感じることが多くなりました。おそらくパソコンにむかって仕事をする時間が長いことと、運動不足による阻血(そけつ:血の廻りが悪いこと)性の筋肉痛が原因のようです。鎮痛剤の利用にも限界があるので、どうしようと思い医者に行くことにしました。今日のテーマは病院です。

私たちが病院に行こうと決心したときには、自分の疾病を治したい、痛みを軽減させたいなどの要望点をいくつかもっています。まず、私たちは自分の症状は、内科なのか外科なのか、または耳鼻科なのかという診療科目を選ばなくてはなりません。たとえ総合病院に行ったとしても、受付で症状を書かなければなりません。診療科目がわかったら、次はどの病院を選択するかが課題です。選択の基準としては、「専門のいい先生に見てもらいたい」という欲求を満たすための要件から自分にふさわしい条件を最大限に満たす病院となるでしょう。
要件としては:
1.自分の疾病を治療してくれるいい医者であること。
2.自宅から通えること。
3.健康保険の適用があること。
などがあるでしょう。そのなかでも、情報の入手が難しいのが、医者に関する情報です。

昨今マスコミでも話題になりましたが、ある病院の外科執刀医がある手術の経験がないにもかかわらず、経験を偽って危険な手術を行い結果的に患者が亡くなったことがありました。また、誤診により不適切な薬の処方を受けたために、肝障害などの副作用で苦しむケースなど医療に関するクレームは枚挙にいとまがありません。患者の知りたい情報である「いい先生」の情報開示は、病院にとってはプラス面であると同時に「悪い先生」の情報開示を余儀なくされる両刃の情報開示になってしまいます。従って、病院側からそのような情報開示はされることはなく、外部の医療関連NPOやボランティア団体が任意に策定した情報に頼らざるを得ない状況です。例えば、「患者が決めたいい病院ランキング」などがあります。病院の医療全般、医療水準、設備、交通の便を総合判断した満足度、そしてその病院の医師の疾病に対する患者への説明、スタッフの態度、プライバシーへの配慮、待ち時間等を患者の情報を元にランキングしています。

定期的に「症状別いい病院・先生ランキング」を掲載している週刊誌もあります。考えてみると皆、今も昔も自分の周辺の人たちに「どこかいい病院ない?紹介してくれない。」といった会話をしてきました。多少分析すると、「人の疾病や医療に関する経験知識の情報を、解決方法を探している第三者に対して提供すること」です。言い方を変えると「疾病・医療に対するナレッジマナジメント」ということができます。


首が痛いって、本当は借金で首が回らないんじゃないの、って言ってるのは誰ですか(笑)。週末は温泉治療をしてきます。良い週末を。

お問合せ: kanda@digital-disclore.com

# by kiyoto_kanda | 2004-08-27 12:03
続々・今そこにある情報開示
目的地到着のための情報開示
最近、電車の車両故障による遅延が目立つような気がします。実は車両故障でなく、他の理由であるとも囁かれています。その真偽はともかく、電車が遅れると会社に遅刻する、アポに間に合わないなどの弊害がでてきます(あたりまえですが)。「何がどうなっているのか」「当初の目的を達成するためにはどうすれば良いのか」といった「情報開示」をいち早く電鉄会社は利用者に行わなくてはなりません。つまり、目的地に時間通りに到着する別ルートの情報開示です。

ここでエピソードをひとつ。もう20年以上も前の話です。金曜日の夜成田発で月曜日の早朝5:30に成田戻りのスケジュールでグアムに遊びに行きました。遊び疲れた日曜日の深夜に現地の飛行機に乗りました。しかし、飛行機は一向に離陸する気配はなし。1時間以上過ぎてアナウンス。機体に問題があるので待合室に戻ってほしいとのこと。英語のアナウンスは日本語と異なり、この飛行機は飛べないと言っていました。何と、とんでもないことが起こったと悟り、慌てる私を見て友人が、「そのうち直って飛べるでしょ」。このときほど、英語が出来てよかったと思いました。待合室では、のんびりとしている日本人と空港係員に詰め寄るアメリカ人の構図。私は変な日本人としていっしょに詰め寄りました。何と言っても、月曜日に会社に行かないとまずい。ガンガン攻め立てるアメリカ人と同様であると思われた私は、空港係員に「お前は日本人か?英語できるか?」と聞かれ、「Yes」と答えると、いきなりマイクを渡され「ここにいる日本人に状況を説明してくれ」と頼まれました。何と、数百人の日本人観光客に私が状況を説明し飛行機修理後24時間遅れで出発すること、宿泊と食事代は航空会社が負担すること等を案内しました。何と何と空港職員のような仕事をしてしまいました。

今日の話は次のようにまとめることができます。
1.予期しない出来事が発生した場合で他人に影響を与える場合は、影響を与えられる人々にその時点で収集できる最大限の情報を、混乱を招かないようにいち早く情報開示する。新しい情報を入手した場合には、追加的に開示する。
2.複数言語での開示の場合には(例:日本語と英語)、内容の相違はあってはならない。つまり、翻訳に関しては細心の注意を必要とし、言語による情報開示に差別があってはならない。


24時間遅れで日本に到着した私はどうなったかって?それはもう大変でした。若僧がグアムにいって帰ってこれずに欠勤したんですから(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclore.com

# by kiyoto_kanda | 2004-08-06 15:21
続・今そこにある情報開示
開示されている有益情報
私は企業内セミナーでしばしばこんな質問をする。「御社のOO工場の敷地面積と取得金額をご存知ですか?」「研究開発費の5年間の推移と人員構成をご存知ですか?」。ほとんどの方はそんな細かい数値は調べないとわかりませんと答えます。でも簡単にそのような情報は入手できます。全て有価証券報告書に記載されています。有価証券報告書とは、証券取引法に基づき上場企業が財務局に毎年提出しなければならない書類のことです。

有価証券報告書については以前に一度お話ししました(「情報開示と情報公開、そして情報発信」をご覧ください)。有価証券報告書(以下「有報」)は世界的なレベルでも企業情報として詳細な情報が掲載されています。しかしながら、情報の受け手がその掲載内容について充分理解していなこと、そして情報の出し手としては何のために有報を作成しファイリングしているかの意識がはっきりしないことが大きな問題でした。つまり、情報の出し手は、証券取引法という法律で決められているから財務局に提出しているのだという歴史的な背景から逸脱できない企業が残念ながら現在でも存在します。もちろん、法律をクリアすることは重要です。どうせ出すのであれば、その情報を基礎データとして情報の受け手が理解しやすいように加工して掲載する、あるいは他のデータとして活用することが必要です。私は1997年に有報データを加工して英語版の日本企業データベース(DB)を作成しデータ事業を始めるべく米国企業と提携し、投資家より約2億円の出資を受けました。DB構築とコンテンツ整理、また膨大な過去データの翻訳等で中国の清華大学にも何度も足を運びました。しかしながら、資金切れとなりプロジェクトを中断せざるをえませんでした。

中年の主張
日本企業の情報開示はなっていない、レベルが低い、ディスクロージャー後進国という外国企業、外国証券会社、外国ファンド担当者に言いたい。日本企業は情報を持っている。しかしながら、その情報の価値とタイミング、情報の出し方がわかっていないだけなのだと。本当に日本株を買いたければ、日本語で有報を読め!日本語版の有報でいいから、外国人に渡せ、自分で英訳して読めと言え! と私は言いたい。

今まで数え切れないくらいの企業情報をまとめ文章化してきました。その時に、「こんなこと言われては困ります。誰がこんなこと言ったのですか?」と聞かれることが何度もある。私は、有報数年分のデータを差し出す。企業担当者も「そうですか。。。。」である。

情報の受け手がほしい情報をほしいタイミングに開示すること、開示していることを知らしめることが必要です。もちろん、有報記載事項に「嘘」があってはなりません。嘘をつく企業は市場から淘汰されるのが「原理」です。

今日の話はちょっと「信じられない」、UFOみたいでしたか。えっ、UFOはUnidentified Frying Object(未確認飛行物体)といわれていますが、私の定義は Uncomfortable Financial Operations(不可解な財務操作)ですよ(笑)。


お問合せ: kanda@digital-disclosure.com

# by kiyoto_kanda | 2004-08-02 18:39
今そこにある情報開示
今日から「今そこにある情報開示」をシリーズでお話しします。「今そこにある危機」は「今そこにある情報開示」であるかもしれません。

開示されれば納得する人の心理
国土交通省は道路工事に「背番号制度」を導入することを決めました。今年度末には東京都内の道路工事には全て番号が付与され、インターネット上で開示される予定であるという。道路工事で渋滞するときの人の心理を考えて見ましょう。道路工事によって、渋滞する。渋滞したことによって予定の時間に間に合わない、遅れる事態が生じる可能性が高くなってくる。そうすると人は焦る。焦ると神経の集中度が散漫になり、車の運転においては注意を怠り、交通事故の発生率が高まる。また焦ることによって、周囲の人たちに言わないでも良いような愚痴を言ったりして「場」の雰囲気を悪くする。そうすると、予定通りに全てがうまく行かなかったりする。このような「負」の連鎖の発生を「渋滞」という状況がもたらす可能性があることになります。ではこの「負」の連鎖の防止法はあるのでしょうか。あるのです。それは「渋滞している状況とその理由」、例えば、それが前方の道路工事であることが事前に運転者に伝わっていれば、心の準備ができます。人は自分の行動に影響するような外部的要因を事前に理解していれば、その状況を容認するか回避するかを自ずと決定します。その時の人の心理は、事前に情報を得ていない状況と比較すると格段に穏やかであり、状況に対応できるように準備されたものであると言うことができます。

一連の流れを整理してみましょう。
1)前方で道路工事が行われている。
2)その道路工事の内容をホームページで検索し情報を入手した。
3)その情報により状況把握ができた。
4)自分のとるべき行動について予定を立てることができた。
5)渋滞を抜けるための予測所要時間を把握した。
6)渋滞を通過するまでにできる別件をこなすことができる。

負の情報開示を生かす
お気づきでしょうか。この一連の流れは私たちの日常にあふれていることなのです。情報がないために次の行動にでることができない、何をして良いのかがわからないなどはその典型的な例でしょう。車両故障で電車が止まってしまったとき、正確な現況情報があれば、迂回路や他の交通手段に振り返ることもできます。しかしながら、韓国で発生した地下鉄火災のように、何が起こっているのかわからないでその場に文句を言いながら留まってしまえば死を待つばかりです。私はこの視点から、癌の告知には賛成しています。もし私があと半年の余命であると知ったならば、その半年に自分の人生で達成したいこと、人としてなすべきことを率先して行うでしょう。「死の情報開示」は「生の積極行動」につながります。もちろん対象者の性格、人柄、考え方によりますが。


今日の私の心理はハリソン・フォードです。何のこっちゃ(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclosure.com

# by kiyoto_kanda | 2004-07-29 15:04
名刺交換は究極の情報開示?
没収された「私の名刺」
まずは最近のエピソードからひとつ。先日、東京証券取引所で開催された四半期決算説明会に出席する機会を持ちました。東証ホール、東証アローズ、そしてアナリスト協会会議室のいずれかで開催されることが常です。案内書をいれたクリアホルダをちらつかせながら、入口を入ろうとすると守衛さんが、「名刺を一枚ください」ということでしたので、渡しました。いままで名刺を要求されることはなかったのですが、今回は要求されました。

「帰るときに名刺は返却されますか?」と尋ねるとその守衛さんは、「いいえ、没収です。」との回答。私は唖然としました。天下の東証ともあろう大「株式会社」が人の名刺を「没収」するとは何事ぞ。私が何か、悪いことしました?高校生の時にタバコをもっていて先生に没収されたとか、税関で「ある分野の特殊雑誌」をもっていて没収されたとかの経験はあっても、名刺を渡して「没収」されることは前代未聞。私の予想していた答えは「安全警備上、入館者全ての方の名刺をお預かりしています。入管記録としてファイルされるため、ご返却はできません。ご了承ください。」でした。たとえ東証であろうとも、渡した名刺が本当は何に使われるのかはわかりません。皆さんは名刺を渡すことに疑問をもったことはありませんか。

究極の個人情報開示としての「名刺」
名刺は中国の「刺」に始まり、欧州でメッセージカードになり、そして日本では19世紀ころから和紙に名前を書いて使われ始めたといわれています。高度成長とともに名刺は日本人ビジネスマンの象徴のようになり、ロシアで売春婦にまで名刺を配る日本人商社マンがモスクアっ子の間で話題にもなりました。今や名刺は日本人ビジネスマンどころか欧米のビジネスマンのほとんどが使用するツールとなりました。以前、欧米人は名刺を持っていない、出さないとか言われていましたが、私の知る限り今は時代が変わりました。日本人でも相手の名前の漢字があやふやであったり、読めなかったりするのと同様に、欧米人のミススペル比率は高く、それを防止するためもあり名刺が普及したと思われます。ましてや、メールアドレスなど覚えておくこともできません。

名刺を交換すること、渡すことは、相手に対して自分の個人情報を開示することであるという意識を持ったことはありませんか。個人の自宅住所や電話番号、クレジットカード番号、生年月日を除けば、他の情報は名刺に満載されています。名刺の内容をエクセルシートにして名簿管理業者に渡せば、即「売れる商品」になってしますのです。

通常の状況で名刺交換をするときは、相手を確認し、手渡します。そして相手の名刺も受取るため何か有事があったときは、どこで誰と会ったかがわかります。しかしながら、ほんの、身近で何気なく行われている習慣ではありますが、何に使われるかわからないということを意識する必要も一面でもあることを理解しておかなければなりません。

私が某一部上場企業の社員だったころ、名刺を提示するだけでホテルに残業宿泊できたことを思い出しました。その会社が内定中にくれた、扇谷正造氏の「名刺で仕事をするな」は何度も読み返しました。今まで私は一度も、決して「名刺」で仕事をしてきませんでした。それが今の私の仕事に対する「驕り」でなく「誇り」かも(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclosure.com

# by kiyoto_kanda | 2004-07-28 15:53
情報の出し手の論理と受け手の論理
情報の出し手の意図
情報公開、情報開示、情報発信しようとしている情報の出し手は何らかの目的や意図をもっているはずです。

その目的・意図とは:
1)企業の責任として法律・規則により開示しなければならないため。
2)任意の開示事項ではあるが、開示することによって企業にとってプラスになるため。
3)企業の新製品・新サービスを世間に認知させるため。
4)企業の主義主張を伝えるため。
5)個人の得意とする分野の経験や知恵を伝えるため。
6)個人の主義主張を世間に知らしめるため。

をはじめ情報の出し手によって異なります。情報の出し手はそれぞれの伝達手段、例えばリリース、新聞や雑誌、専門誌、インターネット、ミニコミ誌、フリーペーパー、ホームページ、メールマガジン、ブログ等、によって情報の受け手にアクセスしています。

ここでひとつ考えなくてはならないことは、情報の受け手が情報の出し手の意図を受取ることができるかということです。言い換えると、情報の出し手は情報を出した時点で、「責任は終わった」「出した情報を情報の受け手がどう取るかは情報の受け手の問題である」と考えてはいないでしょうか。企業の情報開示は往々にして、企業責任を果たすため、担当者は自分の職務責任を果たすためが目的となってしまうことがあります。それらの情報を情報の受け手が受け取ったときに、本来伝えるべき内容が正確に伝わっているかどうかを確認することが重要です。もし、伝わっていないことがわかれば、その原因理由を調査分析する必要があります。情報のまとめ方の問題なのか伝達手段の問題なのかの正否を考えます。この繰り返しによって、情報の受け手の理解度が高まり、情報の出し手が意図した内容を情報の受け手の理解度が100%に限りなく近づくような情報伝達が可能となるのです。

情報の受け手のワガママ
私は常に情報の受け手の視点で情報の内容整理や伝達をすることが重要であるということをいままで何度もこのコラムで述べてきました。今日はあえて情報の受け手は「ワガママ」であるといいましょう。実は情報の受け手は本当に「ワガママ」なのです。情報は、情報の受け手が受け取るか受け取らないか、理解するか理解しないかを勝手に選択することができます。つまり、該当する情報が自分にとって有益でない、興味がない、理解できないと判断された瞬間に情報の受け手はその情報を捨ててしまいます。すると、情報の受け手は為すすべがなく目的達成は困難になります。

どうする情報伝達
ではどうすれば良いのでしょうか。答えは簡単です。「ワガママな情報の受け手の興味がわき有益であると思わせ、確実に理解できるような内容を適切な手段方法、媒体によって伝達すれば良い」のです。しかしながら、この「簡単な答え」がいかに難しいかは、皆が知っていることです。

こんなことを書いて「おまえはこの内容を誰が読んでいるのか、ちゃんと理解されているのか想定して書いているのか」と言われてしまいますかね(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclosure.com

# by kiyoto_kanda | 2004-07-27 18:23
理解できる言葉、できない言葉
聞くに聞けない不明な言葉
昨日のお約束通り、今日は週末なのでやわらかい話題です。今まで情報開示には対象によってわかりやすい表現を使うことが必要であり、情報の受け手の理解度向上には必要であることを繰り返しお話ししてきました。今日は使うべき言葉とあまりお勧めしない表現などについて考えてみましょう。

「引去額」

この言葉の意味わかりますでしょうか。「いんきょ?」「いんきょがく?」
実はほとんどの人が何度も見かけている言葉です。地下鉄や私鉄の場合パスネットで入場すると最低運賃が引かれます。東京メトロであれば160円。そして190円区間で下車するときに改札口のゲートで30円が引かれパスネットにその記録が残ります。ゲートのところでこの言葉「引去額 30円」見たことありませんか?文字としてのイメージは何となく覚えているが、あまり気に留めたことがない、きっと30円引かれたんだろうと思っていた、とおっしゃる方は多いと思います。「引去額」という表現に疑問に思ったことありませんか。

好奇心旺盛、精神年齢16歳の私は、改札口の駅員さんに勇気を出して、この言葉について聞いてみました。清水の舞台から飛び降りるような、でも聞くは一時の恥と思いながら、丁寧に尋ねましたが、駅員の答えは「さあ、何て読むんでしょうね」でした。私は絶句。駅員さんも知らない言葉を使うなよなと思うのは当然ですよね。その後、調べるとこれは「ひきさりがく」と読み、金融機関の一部で使用されている言葉だということがわかりました。複数の人に「引去額」を見せ確認しましたが、誰ひとり意味を正確に説明した人はいませんでした。業界では使用されている言葉、いわゆる業界用語、一部の人たちの間でしか使われていない言葉を公共の場所で使う場合には注意が必要です。もし、私がシステム設計者であれば、「引去額」ではなく「精算額」とするでしょう。画数が多ければ、首都高速の漢字表記のように一部分を簡略化した「簡易文字」を使うでしょう。

人の振り見て我が振り直せ
この例で得られる教訓は何でしょう。公共の場で使用される言葉や表現は、通常の人々が普通の状態で理解できるものでなくてはならないことです。これは情報開示についても全く同様です。情報の受け手がわかる表現を情報の出し手は使わなくてはならない。こんな当たり前のようなことが当たり前に行われていないことが問題なのです。情報の出し手の自己満足に終わってはならないのです。情報を出したことで責任が終わるのではなく、情報の出し手が意図した内容を情報の受け手が理解して初めて責任が終わるのです。

難しいことを難しく説明するのではなく、難しいことをいかにわかりやすく説明するかを心がけている私としては、改札口を通るたびに「なんとかしてやろう」と思っています。
まずは虎ノ門の改札口の「引去額」表示に「精算額」ステッカーを貼ろうかな(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclosure.com
# by kiyoto_kanda | 2004-07-23 20:02
区別された情報と目的達成
区別されるべき情報と情報開示
以前に区別と差別のお話しをしました。今日はその各論編です。人によって欲する情報は異なります。それは当然です。例えば、私のことを知っている人には、ゼロベースの情報開示は必要ありません。最近の情報を伝えるだけで十分です。しかし、私と会ったことがない人に対しては、私という人は何ものなのかという自己紹介から始め、基本的な物の考え方、そして近況を伝えます。自ずと人は異なる対象に対して情報を区別しています。

下の図は今まで意識したことなく、人と接している自分を見直すために「私(自分)」と周囲の人たちを区別した図です。



 
他人ゾーン: 私の知らない人
 その1: 私が全く知らない人(Ⅳ)
 その2: 知人から紹介を受けているがまだ知らない人(Ⅲ)

知人ゾーン: 既に私の知っている人
 その1: 知人になって間もない人(Ⅱ)
 その2: 長期間知人の人(Ⅰ)

他人ゾーンその1の全くの他人、いわば「赤の他人」に対する接し方と知人ゾーンその2の長年ずっと知っている人に対して話す内容は異なります。区別された情報開示を行わないと「あなた何、話しているの?」と問いただされることもあるでしょう。「初対面の人にそんなこと話すのか」「それ聞くの3回目、もういいよ、いつも自慢話ばっかりは」などという場面にも遭遇するはずです。人とコミュニケーションをとるということは自ずと目的があるはずです。仕事関係の話であれば、「今日のゴール」「今日打合せで達成したい到達点」を設定し打合せに臨むのがビジネスパーソンの心得です。到達点に行き着くために、相手が必要とされる情報を選別し区分して開示します、つまり商談なりプロジェクトを進行させます。時には、自分の仕事に対する哲学やプロジェクトで開発した成果物(開発済みプログラムや報告書、出来上がった製品等々)の公開、その知的所有権、著作権などの権利関係についても情報開示を行います。

このように必要な時に必要な相手に必要な情報を開示すること、その行為によって自己の目的を達成するためにコミュニケーションが存在すること、そしてその成果が仕事の成果に直結していることをご理解いただけましたでしょうか。

何か、今日は理屈っぽくなってしまいました。外は暑いし、頭を鍛えなくちゃと、まるで米国人コンサルタントのように理路整然と言い切ってしまいました。明日は週末でもありますし、やわらかく(笑)。

お問合せ: kanda@digital-disclosure.com

注:画像をクリックすると別ウインドウが立ち上がり鮮明な画像を見ることができます。
# by kiyoto_kanda | 2004-07-22 16:59
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